導入事例

「ジャーナリズムとデータの融合:松村太郎氏が語るStatistaの活用法」

2024-11-28 | 発行元 Statista Japan

ジャーナリストとして活躍し、情報経営イノベーション専門職大学(iU)で専任教員も務める松村太郎さんに、データの重要性とStatistaの活用について伺いました。

インタビューは、現在Statistaでインターンシップを行っているiU3学年の高と中村が担当しています。

本インタビューでは、松村さんがジャーナリストとしてどのようにStatistaを活用しているのか、またStatistaの新機能「ResearchAI」」がリサーチの効率を大幅に向上させ、30分かかっていたリサーチがわずか5分で完了するようになった点についても語られています。

Statistaの導入を検討している方や、既に利用している方にも役立つ内容ですので、ぜひご一読ください。

慶応義塾大学政策・メディア研究科卒業後、ジャーナリストとして独立。テクノロジーとライフスタイルの関係を追いかける。 2011年より8年間、米国カリフォルニア州バークレーに住み、テクノロジーの震源地であるサンフランシスコ・シリコンバレーを現地で取材した。 2007年より「教育とITで社会問題を解決する」キャスタリア株式会社に参画、取締役研究責任者を務める。 2014年、長野県上田市にプログラミング必須の通信制高校、学校法人信学会、コードアカデミー高等学校を設立、副校長を務めた。 近著に、「タブレット革命」(アスキー・メディアワークス刊)、「スマートフォン新時代」(日経BP)、「Anker 爆発的成長を続ける新時代メーカー」(マイナビ出版)、共著に「スマートラーニング入門」(日経BP)、「プログラミング教育が変える子どもの未来AIの時代を生きるために親が知っておきたい4つのこと」(翔永社)など。 Twitter、Instagramともに@taromatsumura。

目次

  • 松村氏の仕事内容
  • データを使用することの重要性
  • データに触れるために日常的に使用しているサービス「Dairy Data」
  • Statistaの活用場面
  • Statistaを使用した具体的な事例
  • 出版著書「最強 Apple フレームワーク」でのStatista活用
  • 松村氏が考えるStatistaの価値
  • Statistaがないと確保できない2つのこと
  • 「30分→5分に」考える時間の最大化
  • 「Research AI」の使用感
  • データを日々活用するには
  • 今後のデータ活用に向けた展望

  • はじめに、松村さんのお仕事内容について教えてください。

ジャーナリストとして、経済史とテクノロジーを中心に、一次情報をもとに記事やニュースを執筆しています。コンシューマ向けのGoogleやBtoB向けのAmazon、Salesforce、Google Cloudなど、幅広いテクノロジー分野を取材対象とし、近年増加している〇〇テックにも注目しています。こうしたテーマから興味深いストーリーを見つけ出し、記事にまとめています。

教授としては、ビジネスに関する授業やゼミを現在受け持っています。実は教授にもコンテンツマネジメントがすごく大事になっていて、例えば90分間の授業でストーリーをどう組み立てて展開するかなど、個人的には共通項が多いと思っています。アウトプットが論文なのかメディア向けの記事なのか、というところで書き方やオーディエンスの対象は変わってきますが、アウトプットの方法も近いものがあるので、大学の仕事もジャーナリストの仕事の延長上として位置づけてやっています。

  • ジャーナリストとして、データを使用することの重要性についてはどのように考えていますか?

データの重要性について、ジャーナリストとしてはまず嘘を書かないために一次ソースの取材が不可欠です。しかし、信頼できるソースに基づいていても、自分の視点がズレていればストーリーはフィクションになりかねません。そのため、そこをどうやってファクトにしていくかというところで、データはとても重要です。

例えば、VR市場が盛り上がっているといっても、携帯が毎年10億台売れている中でVRは500万台売れている。これだとあまり盛り上がっていないという話になってしまいます。もちろん、何を捉えて盛り上がっているのかによりますが、去年は100万台、今年200万台、来年は300万台になりそうという場合では盛り上がっているっていってもいいのではないでしょうか。

そのように、一次ソースの立場や肌感覚も重要ですが、記事にする際にはそれがデータに基づいているかを確認することが不可欠です。そのため、データを参照することが非常に重要だと考えています。

最近では、データジャーナリズムという言葉も最近出てきて、ビジュアライズされたデータとともにストーリーを伝える記事も増えています。しかし、重要なのは元となるストーリーメーキングです。新しいテクノロジーに関する記事では、スペックや機能の向上といった情報だけでなく、「それが何の役に立つのか」「なぜ以前は実現できなかったのか」といった背景や価値を伝えることが求められます。伝えるデータもストーリーも正しく、そして、面白くしなきゃいけないという難しい領域ではありますが、そのプロセス全てにデータが関わってきています。

そのため、ファクトベースでストーリーを構築し、正確なデータを伝えるだけでなく、それを面白く読ませる工夫が重要です。データを日常的に活用することは、良い記事を書くうえでは大切であり、研究や新しいビジネスの創出にも同様に重要だと考えています。

  • データに日常的に触れるというところで、松村さんが普段から使用しているサービスなどは何かありますか?

Statistaとの出会いも、このメルマガの登録がきっかけでした。アメリカにいた際、英語の学習と同時に世界の動向を知るために始めましたが、選ばれるテーマが非常に興味深いものばかりでした。

例えば、トランプ氏のEV支援廃止が話題になった際には、アメリカや世界のEV販売台数、トップメーカーの動向がデータで確認できます。また、COPの開催時には気候変動や企業の対策投資額など、多角的な視点からデータが示されます。

こうした情報は貴重な視点を多く提供してくれるだけでなく、データジャーナリズムやデータを活用したストーリー作りの良い訓練にもなっています。そのため、メルマガを通じて日常的にStatistaのデータに触れています。

  • 頻繁にStatistaを使用しているようですが、どのような場面・段階でStatistaのデータを使用していますか?

細かいものの把握よりは全体観の把握をするために、まずデータを使っています。例えば、VRゴーグルの市場規模を世界規模で掴む際、日本語の情報だけでは不十分なため、大枠を掌握するという部分でStatistaのグローバルデータを利用します。マーケット調査では、アメリカや日本など各国の詳細データも併せて確認できるため、そのように使用しています。

また、働き方やジェンダーギャップ、教育格差といったテーマでは、日本だけでなく世界の視点から捉えることで、偏りのないストーリーを構築できます。その点でも、大枠を把握する際にStatistaのデータは大いに役立っています。

そのため、取材や記事執筆、その他のアクションの前に、Statistaのデータを参照することが日常的な習慣となっています。

  • 最近はどのようにStatistaを使用しましたか?

最近、VisionProのレビュー記事でStatistaのデータを参照・引用しました。例えば、VRヘッドセットやグローバルセグメントといったキーワードで検索すると、それに関連したデータが出てきます。では、アメリカや日本はどうなのかということを調べていって市場動向を把握していました。

特に後半のまとめ部分では、これまで話してきたVisionProは市場全体の中でどのような位置づけにあるのか、また今後どうなっていくのか、Statistaのデータを基に説明しました。

記事において、単に主観を述べることも大事ですが、ストーリーにデータを加えることでその主観の裏付けになったり、あるいはもっと飛躍して将来像の論拠になったり、データには様々な使い方があると思っています。そのため、記事のストーリーにどう役立てるかを考えながら、Statistaでさまざまなデータを検索し、活用しています。

  • 8月に松村さんが出版した「最強 Apple フレームワーク」でもStatistaを使用されていましたが、こちらではどのようにデータを使用しましたか?

今回、書籍で対象にしたのはアップルのビジネスモデルやビジネスフレームワークです。Appleは出荷台数に価値を置いていないことや投資家への対処などの理由から、出荷台数のデータを公開していませんが、コンセンサスとしての出荷台数の数字はインターネット上にあります。通常はインターネット上でそれらのデータを探す必要がありますが、時間がかかる、PDFになっているなど使いづらさがあったため、同じフォーマット上で手間なく見られて、かつ最新のデータを得られるStatistaに当たりました。

書籍では、iPhone発売当時の市場規模をTAM、SAM、SOMのフレームワークで分析しました。スティーブ・ジョブズはiPhoneを発売する際に「1年間で携帯電話市場の1%シェアを取る」という目標を掲げましたが、これは携帯電話市場全体の10億台の1%、すなわち1,000万台を意味します。Appleの規模を考えると、たった1%という目標は容易に達成できそうに見えます。しかし、Statistaのデータによれば、当時のスマートフォン市場規模は約6,000万台。つまり、この1%の目標は、実際にはスマートフォン市場の16%という非常に高い目標だったことが分かります。
こうした数字をstatistaで具体的に示すことで、TAMとSOMの間に存在するギャップを明らかにし、ジョブズがどれほど大胆な目標を設定していたかを明らかにできています。

さらに、Appleのスマホシェアは初年度に取った15%を維持し続けています。
携帯電話の市場の中に占めるスマートフォン市場が伸びている、そして結果的にはそこの15%というシェアを維持し続けるだけで、最初は1,000万台が目標だったものが、現在では年間2億台に売れていることからも、市場選びの重要性が見てとれます。

その市場選びが重要だといったときに、市場の初期値の分析や今後の将来の分析予測がStatistaで見られて、それを信じて参入するとiPhoneのようなことが起きるのではないかという話を書いています。このような項目は完全にStatistaのデータをフル活用して組み立てた内容となっています。

  • 普段からStatistaを使用している中で、どこにStatistaの価値を感じていますか?

Statistaの最大の価値は、膨大かつ正確なデータにアクセスできる点だと感じています。

近頃生成AIが出てきましたが、定性・定量ともに嘘をついたり、データを作ったりする部分が見受けられます。AIは言語処理が得意な一方で、データ処理はあまり上手くできないため、こちらからデータを与えてあげないとデータ処理をこなしてくれない、そのような部分は生成AIを使い始めて皆さんお気づきになっていると思います。

その点で、正確なデータを提供するStatistaは、生成AIが当たり前に使われる時代でも価値として残り続けてくれるのではないでしょうか。

  • Statistaがなかったら困っていたこと・難しいことは何かありますか?

Statistaがなければ、まずデータ収集にかかる時間が大幅に増えていたと思います。。インターネットである程度検索はできますが、そこにデータがなかった場合には図書館とかを回らないといけないということが起きていました。それがデスク上で、自分で調べればデータとして出てくるというところは明らかな時間短縮になっていると思います。そのStatistaでの資料探しも、Research AIでさらに短縮されデータ検索の生産性が上がっているところが1つあります。

もう1つはファクトフルネスです。生成AI、Wikipediaでは正確性が保証されていない情報が多く、Googleの情報も結局はマジョリティ化された情報でしかないので、ファクトチェックは自分でしなければいけないところがありました。そのような意味ではファクトであることが不確定要素でした。

その点、Statistaは正確なデータを提供しているため、信頼性の担保が容易になり、データの不確実性を大きく軽減してくれています。この信頼性は非常に大きな価値だと感じています。

そのため、時間短縮とファクトフルネスの2点がStatistaのあるなしを比較した場合の最大の価値であり、Statistaがないと意外とこの2つを確保することは難しいことだと考えています。

  • 単にリサーチの時間が短くなった以外に、時間が短縮されたことによるメリットは何かありますか?

リサーチ時間の短縮による最大のメリットは、データを基に深く考える時間を確保できるということです。

計画やビジネスプラン、マーケティング戦略を作成する際には、考える時間を最大化することが重要です。しかし、リサーチに時間がかかると、それらの作業に十分な時間を割けなくなり、本末転倒になってしまいます。

反対に、考えることに時間を最大化しようとすると、ウェブで検索して出てきた資料やいい資料が1個見つかったらそれで進めていくという形になってしまい、そのデータが正確かどうか、あるいは科学的に判断できているかどうかが担保できない状況になってしまっていました。

そのようなデータの妥協が起こってしまう理由は、その先の部分が本当の仕事であるからです。Statistaを使おうとしている方はデータを探すことが仕事ではないはずです。本当の仕事をするために多角的な正しいデータを素早く手に入れるといった時に、Statistaがないと1日が情報集めになってしまう場合もあります。

通常1,500文字の記事を書く際に、1時間半のうち30分ほどリサーチに費やしていましたが、StatistaのResearchAIを使うことでわずか5分で済む、そのレベルでの時間短縮ができています。

30分余計にデータ検索にかけるのか、そこを5分で済ませてその分考える時間をつくるのか、そのような部分でかなり大きなメリットがあります。

  • Research AIを使用していただいたと思いますが、実際に使用してどのように感じましたか?

まず実際データを使おうとしている人からすると、生成AIのようにデータが勝手に作られないというところが一番重要だと感じました。ResearchAIにより生成AIで不正確なデータをつかまされずに済むようになったことで、リスク回避という部分を確実に担保できるようになったのではないかというところが1つです。

さらに、生成AIのサマリーはばらつきがありますが、StatistaのResearch AIはスクリプトにこだわらなくてもクオリティの高いサマリーや結果が返ってくるということがとてもあり、気軽にキーワードだけ入れてもしっかりとサマライズしてくれました。

そのため、先ほどのStatistaの使用方法で挙げた、全体のデータを把握する際には非常に手間がなくなったのではないかと考えています。自分でデータを調べてまとめ、データの傾向とか見ていくようなこと以前に、検索結果画面でサマリーが即座に表示されるため、その点はResearchAIを使うと大きく変わる部分であり、明らかに時間短縮につながります。

例えば、通常15秒ではデータ1つの内容を把握することすら難しいですが、ResearchAIなら同じ時間で6つ以上のデータをサマライズしてくれるため、全体を把握する際に非常に強力なツールになっているのではないでしょうか。

それこそ、自分の調べたいテーマのキーワードを入力すると、簡単な記事のようなサマリーが出てきて、それをそのまま記事の一部として使用する、そのような活用方法も取れるのではないかと思っています。

  • データをあまり活用できていない方が、データを日々活用するようになるにはどのような取り組みが必要だと思いますか?

データを活用して得られる小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。例えば、データを使うことでプレゼン仕様の説得力が上がったとか、フレームワークとデータがうまく噛み合った結果、上司に指摘されなかったといった経験です。

市場規模や将来の成長予測、これまでの経緯は、データで裏付けてストーリーを効果的に立てて組み立てていくことが重要ですが、それこそDaily Dataとかはまさにそのような切り口を提供してくれていますし、Statistaのレポートなども見ることでいい示唆が得られます。レポートをそのままダウンロードして活用すれば、プレゼン資料の1ページを簡単に埋めることも可能です。こうしたデータの活用方法を知って行くと、データが自分の仕事や勉強などに役立っているという実感がより高まっていくと考えています。

  • 今後ジャーナリストとして、データをこのように活用していきたいなど何かありますか?

世の中の人々の内、データに基づいて考えていない、あるいはデータに騙されているのではないかとデータそのものの有用性を疑っている人もいます。そのため、データが絶対的に正しいとに押し付けてしまうと、誤解やコミュニケーションミスを招く可能性があります。

それはデータジャーナリズムのテーマにもなっていますが、データとストーリーを両立しないとなかなか人に話が入っていかない部分があります。データに裏付けられたインサイトをわかりやすいストーリーに仕立てることで読み手にとっても非常に良いものになるので、私自身もそのようなストーリーを、データを活用して作り続けたいと考えています。

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